
ハラスメントに対するステートメント
昨今次々と顕在化しているように、演劇界にはこれまでハラスメント行為がまかり通ってきたという現実があります。
作品作りの現場において相対的に立場の強い、演出家、劇作家、プロデューサー、テクニカルプランナー、年長の俳優などにより引き起こされてきたハラスメントは、ハラスメントと糾弾されることなく、それが作品作りにおいて必要な手段であるかのように、長い間存在し続けてきました。そして、そのようなハラスメントと共に作られた作品が評価されるにつけ、ハラスメント行為は正当化され、優れた作品を生み出したという成功体験として語られることも少なくありませんでした。これは、人権を侵害され、深く傷ついていた人がいること、そしてその結果業界を去った人も少なくないという現実から目を背け、口をつぐみ、ハラスメント行為を許容してきたすべての演劇人の責任です。
私自身これまでに、俳優やスタッフに対して、その尊厳を傷つけるような行いがあったと自覚しております。これは全て、私の演出家としての未熟さが引き起こしてきたことで、他者を前向きな言葉で導く演出手法を獲得できていなかったことが原因であると、猛省しております。今後は、あらゆる他者を尊重し、適切な言葉を獲得し、学び、過去の価値観や知識を見直しながら取捨選択し、常に自身をアップデートしていくよう努めてまいります。
劇団温泉ドラゴンは、常に他者をリスペクトしあえる創作現場を作っていけるよう全力を尽くします。我々の稽古場が全ての俳優やスタッフにとって風通しの良い、安全な場所であり続けるために、そして健全な環境で作られた作品をお客様に届けることができるよう努めてまいります。そのための具体的な取り組みとして、公演ごとにガイドラインをアップデートして策定し、ハラスメント防止研修を実施し、相談窓口の整備を行います。そして微力ではありますが、我々の取り組みが演劇業界からあらゆるハラスメントや差別を無くすための一助になるべく、努めてまいります。
2023年1月15日
劇団温泉ドラゴン代表 シライケイタ