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木下麻子役:山﨑薫

--『痕、婚、』を初めて読んだときの感想を教えてください。
結婚のお祝いシーンで、それぞれが何かを隠しながら会話が盛り上がり上滑っていく感じや、麻子の告白を皮切りにそれぞれの役が言い分を語っていく時のどんどん体が冷たく固くなっていくようなシーンが、麻子の生きてきた痕跡をさらに深くするようで苦しくなりました。


--この作品の魅力を教えてください。
人間は心の底から愛し合えるし、どこまでも憎しみ合える生き物。何かを隠しながら何かを大切にしていくことは限界があるが、認め、背負い続け、生き続けることのしんどさと尊さを携えていけるのも人間という生き物だ、と思わせてくれる作品です。

--ご自身が演じる役はどんな人物か教えてください。
麻子は、決して「痕」や「恨」のエネルギーだけをモチベーションにしている人ではなく、根底に深い「愛」が渦巻いている人だと思います。屈せず、亡き恋人と自分、祖国のために「生きる」ことを丁寧に覚悟できる人です。

--稽古はどうでしたか?稽古や共演者とのやりとりで印象に残っていることがあれば教えてください。
存命の作家さんと話をするという機会が実は今まであまりなく、作家の原田ゆうさんと作品についてお話ができたことがとても面白く、書く生理と演じる生理の違いを受け入れつつ新しい作品を作っていくことの苦しみと楽しみを味わえた事がとても幸せでした。

--最後に公演を心待ちにしている皆さんにメッセージをお願いします。